よぉ。何だよ、そのツラ。馬鹿、殴りに来たんじゃねーっつうの、マァムじゃあるまいし。
お前さぁ、前から言おうと思ってたけど、やめろよな、何でも一人で背負い込むの。そんで、自分一人が悪いみたいな
勘違いすんの。むかつくんだよ。背負い込まずに逃げちまった奴から見たら、ほんと、それこそぶん殴りたくなるぐれぇ
むかつくんだよ。
分かってんだよ、俺にだって。ダイが帰ってくる可能性なんか、もう万に一つもねぇことぐらい。頭じゃな、分かってんだ。
だけど嫌なんだよ。信じられねぇ、信じたくもねぇ。冗談じゃねぇってんだよ、姫さんとガキ作るなんて。
もうあいつは姫さんと会えないって、認めるようなもんじゃねぇか。それがどんだけ姫さんのためでも、パプニカを
救うことになっても、できねぇよ、俺には。ああ、パーティ一クールな魔法使いが聞いて呆れらぁ。
凄ぇよな、姫さんは。子どもの名前、聞いたか?ディーノだとよ。バランと戦った俺達しか知らねぇが、あいつのほんとの名前だ。
赤ん坊さえ、あの人はダイを待つ力に変えちまった。強ぇよな。ここの強さで言ったら、間違いなく世界一だ。どんだけ
泥にまみれようが、あの人は死ぬまで、ダイを待つんだろうぜ。は、こんなことならあんとき、俺がじいさんの頼みを
引き受けて、役得にあずかるんだったね。
おい、睨むなよ。冗談だ冗談、決まってんだろ。待てったら。俺だって用もなく、てめぇのしけたツラ拝みに来ねぇよ。話があるんだ。
単刀直入に言うぜ。ダイは魔界にいる。生きてるか死んでるか、どんな姿になってるか、皆目分からねぇが、とにかくいるんだ。
どうやって分かったかって?メルルだよ。あの子の力を利用したんだ、力ずくでな。そんな顔すんなよ。俺だってやりたくてやった
わけじゃねぇ、お前と一緒だ。
まぁ、居場所が分かったからって、連れ戻せるのが万に一つなのは変わりねぇがな。何せ魔界だ。たどり着く方法があるのか、
着けたところであいつを探し出せるか、あいつは連れて帰れる状態にあるのか。考えたらきりがねぇ。まともな脳みそ持ってる
奴なら諦めるだろうが、生憎俺はいかれちまってる。何十年かかろうが、何もかも無駄になろうが、やってやるさ。
お前も同じだろ?分かってるよ、だから真っ先に話したんだ。他にいかれた野郎っていえば、ラーハルトぐらいか?
ああ、姫さんには黙っとく。可哀想だけど、あの人は王様だ。あの人が治めててくれるから、俺達はこの世界を後にすることができる。
大切なもん、何もかも置いてな。
ああ畜生、面倒かけやがってあの野郎!とっ捕まえたら、思いっきりぶん殴ってやらぁ。どんなに嫌がろうが、ふん縛ってでも
連れて帰って、そんで………姫さんに、返してやろうぜ。
End
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